社会福祉法人の退職金の相場や共済の仕組みについて
社会福祉法人は特別養護老人ホームや障害者施設などの福祉事業を主に手掛けている法人であり、そこでは多くの介護職員などが働いています。
介護職員は給料が安いと言われているのは世間でも知られていますが、それはあくまでも月給が少ない、昇給が僅かしかないなどの認識であり、退職金について具体的に知っている方は少ないのではないでしょうか?
社会福祉法人の退職金にはどのようなものがあり、どれぐらいの金額になるのか?(退職金の平均額、相場について)、計算方法は?いつ貰えるのか?など、ここでは社会福祉法人で働く方の退職金の相場や加入する共済の仕組みについてご紹介します。
社会福祉法人が加入する共済について
通常、退職金というのは企業が退職者のために、積み立てたり、売り上げの一部から捻出したりしますが、社会福祉法人の場合は、社会福祉法人の働く職員で構成される「退職金共済」というものがあります。
これは、社会福祉事業の新興を目的としており、社会福祉法人で働く人材を確保し、確保した人材が長く働いてもらうために創設されたという背景があります。
退職金共済の仕組みとしては、職員と施設が掛け金を支払い、まとまった額を対象者に支払う仕組みをとっています。
正社員はもちろんですが、条件によってはパート職員も対象となっています。
退職金共済の計算方法
退職金はどのように計算されるのかはしっかりと定められています。
ポイントとしては2つです。
退職前6ヶ月間の平均本俸月額に応じた算定基礎額(基本給)と勤続年数です。
分かりやすく言うと、退職する前の半年間の給料の平均額と、働いた年数によって定められています。
掛ける期間は最短1年以上で、1年満たずに退職した場合は支払われません。
また、43年以上勤めて、それ以上掛けてもかけ率は同じになります。
掛け率は年数に応じて変化しますので、分かりやすく10年ごとのかけ率をご紹介していきます。
- 1年目は0.522
- 10年目は5.222
- 20年目は20.44
- 30年目は36.10
- 40年目は47.54
- 頭打ちの43年目は49.59
になります。
例えば、算定基礎額が30万円で一年目に退職をした場合は約15万円。(30万円×0.522)
43年目は約1500万円弱(30万円×49.59)の退職金が支払われる計算になります。
かけ率については通常の企業と比べて平均的な数値ですが、社会福祉法人で働く方の中で、特に介護職は基礎計算額が低く、勤務年数が短い傾向にあるので、平均的な退職金の額は非常に少ないです。
では、社会福祉法人で働く介護職員の退職金の平均はいくらになるのでしょうか?介護職員の実情を踏まえて退職金の相場について説明していきます。
社会福祉法人の介護職員の退職金の平均額・相場は?
介護職員の平均給料は2014年の厚生労働省が発表したデータによると「約22万円」、勤続年数の平均は「約7年」だと言われています。
この数字を元に、介護職員の平均的な退職金を算出していきます。
「基礎計算額は22万円」、勤続7年で退職したとして「かけ率は4.7」となっており、「22万円×4.7=約103万円」が平均的な退職金になります。
もちろんこの103万円という数字は、あくまで勤続年数や給与データから計算した平均的な額面になりますが、データ上では103万円という金額が社会福祉法人で働く介護職員の平均退職金になります。
介護職員以外の社会福祉法人関係者であれば、これよりも多く貰っているケースもありますし、施設長などの管理者クラスになれば、通常の企業並みの勤続年数30年、40年という方が非常に多くなりますし、算定基礎額も高くなるので、退職金は更に多くなります。
介護職の退職金はいつもらえるの?
退職金のもらえる目安としては、退職日からおおよそ1か月後。
例えば、12月末で退職した時は、1月末ぐらいの支払いが一般的です。
最終の給料は1月中に支払われますので、それよりも若干遅くなるのが退職金の特徴になります。
共済以外の退職金規定はあるの?
共済金以外で退職金を定めている施設もあります。
ある社会福祉法人では共済金に加えて退職金を定めており、一律共済退職金の20%としているところもあります。
しかし、これはあくまでも法人が規定している場合のみであり、退職金の規定事態定めていないところもありますので注意しましょう。
平均的にみてみると、退職金は共済があるからと設定していない、もしくは非常に低い額で設定しているなどが多いです。
また、共済の退職金は1年以上と設定されていますが、通常の退職金でも一定期間以上働かないと退職金が発生しないことがありますので注意しておきましょう。
介護職に限らず、退職金というのは老後に困らないためにも非常に大切なものになります。
長く働きたいと思うのであれば、自分の働く介護施設がどんな退職金に入っているのか?どんな制度になっているのか?定年まで働いたらいくら貰えるのか?をしっかりと把握してから、就職・転職されることをおすすめします。
また、社会福祉法人の退職金自体悪くはない制度ですが、介護職の給与自体がまだまだ他の業界と比べても低いので、退職金の相場は他の業界よりも低い金額になってしまう傾向にありますが、長期で働いて役職が付くようになれば基本給も上がり、退職金も上がっていきます。
ですが、一向に給料が上がらないところで長年働いても退職金はそれほど期待することはできません。
介護サービスの事業を展開している法人は、社会福祉法人以外に医療法人が母体のところ、株式会社が母体のところなど、様々な経営母体があります。
今の施設の給料の安さから、転職のタイミングを窺っている介護職員の方も多いと思いますが、年齢の若い20代、30代前半が転職のチャンスです。
まずは、事業主ごとの給料の仕組みや、退職金の特徴を良く調べてから就職・転職するようにしましょう。