初めて訪問介護で働く人は「常勤正社員のヘルパー」と「登録ヘルパー」どちらを選ぶべき?
※この記事は、訪問介護の仕事にこれから就職・転職を考えている人に向けて「初めて訪問介護で働く場合、常勤ヘルパーと登録ヘルパーのどちらを選ぶべきか?」について、両者の特徴や違いを比較し、どれが良いのかを考察しています。
常勤と登録制のヘルパーにはどのような違いがあるのでしょうか?
また、初めて訪問介護に従事しようと思っている人は、どの働き方を選べば良いのでしょうか?
常勤正社員のヘルパーと登録ヘルパーの特徴と違いを比較
訪問介護のヘルパーは、大きく分類すると常勤ヘルパーと登録ヘルパーの2つに分類されます。
働き方や給料などの特徴や違いについてまとめました。
常勤ヘルパーの特徴
安定したお給料が魅力の常勤正社員
お給料について
常勤の正社員として働く1番の魅力は、やはり「固定給」があることです。
パートやアルバイトの場合は時間給ですが、社員の場合は「固定給+各種手当=給与」になるので、待機時間や移動時間もお給料が発生します。
ここは登録ヘルパーと大きく異なる点ですね。
給与・年収は保有している「資格」(初任者研修修了者>実務者研修修了者>介護福祉士所持者)や「役職」で上昇します。
登録ヘルパーの場合は「移動手当」として移動にかかるお金は手当として支払われますが、待機時間は無報酬になるので、正社員の場合は利用者様の体調不良でキャンセルが入っても給与に影響することはありません。
登録ヘルパーのように生活支援と身体介護で給料が違うこともなく給料は一定で、各種保険、税金、年金を差し引いた金額が毎月のお給料になります。
働き方について
社員で働く場合は、現場に直行直帰ではなく、基本は事業所に出勤し、そこから利用者宅への移動になります。
登録制のヘルパーさんは直行直帰が許されてるケースが多いですが、社員の場合は基本は事務所に出勤して、仕事を終えたらその日の事務処理、他のヘルパーさんの管理など、色々な業務をしなければなりません。
新人の人が入ったら指導する側に立って、同行や直接指導したりと仕事も増えます。
未経験からでも正社員になれる求人もありますが、現場の感覚的には、基本的には訪問介護の経験のない人や介護自体の経験が少ない人が社員希望を出すのはおすすめしません。
給与イメージ:
訪問介護の常勤正社員の平均月収「275,130円」(厚生労働省データより)
登録ヘルパーの特徴
自分の働ける時間を登録して働ける登録ヘルパー
お給料について
登録ヘルパーの給料は正社員やパートと異なり、1件こなすごとにそれに対する時給が支払われます。
利用者様宅への移動時間はお給料が発生せず、仕事の開始時間から、終わりの時間までがお給料の対象になります。
登録ヘルパーの最大の難点は、登録していても仕事が入らないとお給料が発生しないことです。
大きな介護事業所であれば、仕事がないという状況はそれほど無いでしょうが、新規に届出を出した事業所とかだと、仕事にありつけない可能性もあるので、注意が必要です。
登録ヘルパーの給与は「生活支援」と「身体介護」どちらが多いかで月のお給料がかなり変わってきます。
これは生活支援と身体介護の時給に大きな開きがあるからです。
例:
- 生活支援の時給「1,300円」
- 身体介護の時給「2,000円」
このように、生活支援より身体介護の方が時給が高く設定されており、登録ヘルパーの給与は「時間給(生活支援または身体介護)+各種手当=給与」となります。
登録ヘルパーは交通費が移動手当として支給されます。
金額は事業所によって異なりますが、1件仕事をする毎に移動手当として数百円の手当てが支払われ、バイクや車での移動でガソリン代がかかった場合は、移動手当から賄うことになります。(※交通費全額支給してもらえる事業所多数)
午前に1件、午後に2件、それぞれ1時間仕事をしたとすると、3時間分のお給料と移動手当3件分となります。
また、その他にも「土日手当」や「早朝手当」などの手当がつく事業所もあります。
働き方について
登録ヘルパーの働き方の1番の特徴は、週3勤務、週4勤務、午前のみ、午後のみ、日勤のみなど、好きな時間や曜日にシフトを組めることです。
自分の働きたい時間に仕事を入れれますし、出勤に関しても要相談ですが、大体は利用者様宅へ直行直帰でOKなので、自由度が高い働き方になります。
今はフルタイムでは働く気はないけど、働きたい時間を決めて短時間・高時給で働きたいという人に特に向いています。
ただ、登録ヘルパーで働く場合の注意点として挙げられるのが、仕事がキャンセルされることがあることです。
前日までにキャンセルが入った場合は、仕事自体が流れてしまいますし、利用者様の体調などで当日にキャンセルが入った場合は、いくらかお給料をくれる事業所もありますが、0円の事業所もあり、予定していたお給料と実際に貰えるお給料に差が出ることもあるので、この辺は気を付けておかなければなりません。
給与イメージ:
1日3件(生活支援1件(時給1100円)、身体介護2件(時給1700円))、週3日勤務(月に12日出勤)の場合
「月収54,000円+交通費」
常勤ヘルパーとして働くメリット・デメリットまとめ
メリット
- 正社員なら固定給があるので毎月の収入が安定する
- 毎日事務所に行くので、仕事で分からない事があればすぐに相談できる
- 会社から必要な資格を取らせてもらえる事業所もある
- 会社の車、バイク、自転車を借りれる会社もある
- 毎日、沢山のお家を訪問するため、介護技術が向上する
- 仕事が飛んでも正社員なら給料は変わらない
デメリット
- 時間が空いたら、事務の手伝いを求められる
- 毎日朝から晩まで長時間働くことも多い
- 一日に何件も訪問するため体力的にハード
- 単価が高い身体介護、単価の低い生活支援。どちらをやることになっても給料に反映されない
登録ヘルパーとして働くメリット・デメリットまとめ
メリット
- 自分が仕事がしたい時間に登録制で働ける
- 現場まで直行直帰でOK
- 身体介護の時給が「1500円~2000円」とかなり高い(※生活支援はおおよそ1000円~)
- 早朝・夜間・深夜なら更に時給は上がり「2000円~2500円」を望める
- 長期間勤めて、仕事を沢山入れてもらえるようになると高収入を得ることも可能
- 後々は常勤の正社員で働きたい場合、事業所の雰囲気・仕事内容を知るために登録ヘルパーから働くことも可能
デメリット
- キャンセルが入ると仕事が飛ぶ(※これが結構多い)
- 仕事量が毎月不安定なので、収入が安定しない
- 決まっている時間を超えての介護・支援サービスは給与が出ない
- 他のヘルパーやサービス提供責任者など、仕事の仲間に会える機会が少ない
- 車、バイク、自転車などは、基本全て自分のものを使う
- 沢山仕事が入りたくても全然仕事にありつけない場合もある
- 初めての人は、最初の月は数件だけというケースも多く、沢山仕事を入れてもらうまでに時間がかかる
- 移動時間はお給料が出ないのに遠いところへ仕事に行かされる事もある
- 税金・年金などは、給料から払う必要がある
【結論】初めて訪問介護で働くならどの働き方が良いのか?
訪問介護業務が「初めての人、未経験者」と限定するならば、まずは登録ヘルパーで働いてみることをお勧めします。
私が登録ヘルパーをおすすめする理由は下記の4つ。
1.登録制のホームヘルパーの求人が多数募集されている
介護事業所の多くは「効率よくヘルパーを使いたい」という思惑があるので、必然的に社員募集よりも登録制のホームヘルパーの方が需要があります。
未経験からの就職となると、いきなり正社員というよりも登録制の方が採用もされやすいのです。
2.正社員だと中々辞めれないケースも多い。自分に合う・合わないを判断しよう
正社員には採用されたとしても、就職した介護事業所が無茶苦茶な働き方を強要するブラック企業だったらシャレになりませんし、訪問介護の仕事があなたに合うか合わないかも分からないのに、いきなり正社員で働くのは危険です。
まずは、登録ヘルパーとして一定期間働いてみて、合う合わないを判断しても良いんじゃないでしょうか?
3.働く人は「主婦が多い」ので、家庭と仕事を両立を考えるなら登録ヘルパー
訪問介護に従事する人は8割~9割が女性です。
年齢は20代から50代と様々ですが、メインが主婦層なので、仕事の面だけでなく、家庭との両立を考えたら、登録制の方が都合もつきやすいのでおすすめです。
4.登録ヘルパーから常勤ヘルパーとして雇用してもらえるケースも多い
実際に働いたことのある人ならわかると思いますが、登録ヘルパーから正社員に打診してもらえるケースも非常に多いです。
もちろんその人の能力にもよりますが、登録制から社員に採用してもらえるケースも多々あるのです。
もし、最初に社員か登録制を選べるなら、「ゆくゆくは社員として働きたい」と伝えておけば、一定期間登録制のヘルパーから始めてみて、頃合いを見て社員登用を打診してくれるところもあります。
以上の理由から、初めて働くなら登録ヘルパーからやってみることをおすすめします。
ですが、これはあくまでケースバイケースです。
働き方・給与・良い点、あまり良くない点を比較すると、どの働き方も良い点・あまり良くない点がありますが、最終的には自分のライフスタイルに合う働き方を検討するべきです。
例えば、生活が懸かっている人が登録ヘルパーで働くのはナンセンス。
「月収20万円以上を希望している、フルタイムで働きたい、介護技術を身につけたい」
このような希望がある人は、常勤正社員で採用してもらえる求人を探しましょう。