登録ヘルパーの「訪問介護事業所間の掛け持ち」の実情と注意点
「働ける時間にしっかり働いて収入を得たいのに、なかなか仕事の件数が増えない。」
訪問介護で働くヘルパーの中には、「稼ぎたいのに稼げないジレンマ」を持つ人も少なくありません。
そこで考えるのが複数の訪問介護事業所に登録して働くことですが、
「2か所以上の事業所から仕事をもらっても大丈夫なのか?」
「規則として問題はないのか?」
「実情はどうなっているのか?」
と、様々な疑問も出てくることでしょう。
ここでは、掛け持ちに関しての疑問・注意点・スケジュール管理について詳しく解説します。仕事の件数が増えず、今の収入に悩んでいるなら、ぜひ参考にしてください。
登録ヘルパーが複数の事業所を掛け持ちするのは可能か?
結論から言うと、登録ヘルパーが複数の訪問介護事業所を掛け持ちで登録することは「可能」です。
ですが、就業規則に掛け持ちを禁止している事業所もあるので、掛け持ちについては、禁止されていないかの確認が事前に必要です。
禁止されてる事業所は別として、実情としては、掛け持ちで登録ヘルパーの仕事をしている人は多いです。
掛け持ちで登録しているのには色々な理由がありますが、初めて登録する時に、いくつもの事業所に登録するケースは少なく、仕事に慣れてきて
「もっと仕事を入れてほしい。だけど、事業所自体がヘルパーが入りたい時間帯に仕事が無い」(※このケースが1番多い)
という時に掛け持ちを考えるのです。
また、その他には「違う職場の仕事の経験も積みたい」と複数の訪問介護事業所に登録しているケースもあります。
経験を積みたくて複数の事業所に登録するというのは、例えば、
「介護保険だけ扱っている事業所に所属しているヘルパーが、『同行援護従事者』の資格を取ったので、実際に視覚障碍者の利用者様の仕事をしたい。だけど、今の事業所にはそのような利用者様が居られない。」
という様な場合に掛け持ちをする、と言う具合です。
ですが、こういうケースは稀で、基本的には「安定した仕事を確保するため」に複数の事業所に登録しているのが実情です。
ヘルパーからすれば「働いて収入を得たい」と思って登録したはずなのに、事業所側の都合で「思ったほど仕事がもらえなかった」という事が多く、仕事を確保するために複数の事業所に登録しています。
「パートで月々10万円くらいの収入が欲しい」と頭で考えていても、仕事が入ってくれなければ、収入はガクンと落ちるので、月のお給料にかなりばらつきがあると悩む訪問ヘルパーが非常に多い。
「このくらいは給料があるだろう」と勝手に想定していても、登録ヘルパーの場合は仕事にありつけない可能性もあるので、掛け持ちをしている登録ヘルパーが多いのです。
お小遣い程度の稼ぎで良いなら問題ありませんが、実際は「空いている時間を有効活用してお金を稼ぎたい」と思っている主婦層が大多数。
自分が働きたい時間に仕事が入らないと、無駄な時間を過ごしているように感じ、とても勿体ないように感じてしまうので、掛け持ちで働く登録ヘルパーが増えているのです。
掛け持ちOKだとしても、倫理的に問題はないのか?
いくつもの訪問介護事業所に掛け持ちで登録をすることに、後ろめたさを感じる人も実際多いです。
複数の事業所に登録していることを、公にしている人がそれほど多くはないことから考えても、隠れて働いていることに後ろめたさを感じている人が一定数いることが窺えます。
掛け持ち登録に関しては、事業所と訪問ヘルパーで考え方に違いがあります。
━━訪問介護事業所の考え方
事業所側からすれば、ヘルパーは一か所だけに登録してくれていた方が仕事が入れやすく、シフトが組みやすいので都合が良い。
なので、「必要な日・時間に登録ヘルパーを使いたい」ので、いくつもの事業所に登録していることを、快く思ってくれない事業所もあるのが実情です。
━━登録ヘルパーの考え方
ですが、ヘルパー側からすれば、生活するために一ヶ月に決まった額以上の稼ぎが必要な人もいます。
固定給があるわけではないので、仕事を十分入れてもらえないと、いくら訪問ヘルパーとして働きたいと思っていても、職種自体を変えなければならない必要性も出てくるので、安定した仕事量を確保するために掛け持ちをするのです。
ヘルパーさんの事情に配慮してくれるところであれば、複数に登録していても何ら問題はありません。
もし、今のあなたが「もっと仕事を入れてほしい」と考えているなら「自分が空いている曜日に仕事は無いか?」を確認してみましょう。
実際は1つの事業所で賄えることが1番なので、まずは今働いている事業所の所長に相談してみましょう。
ですが、相談しても欲しい量の仕事を与えてもらえないなら、「空いている時間は他の事業所に掛け持ちをして仕事を入れたい」という旨を伝えれば、それほど嫌な顔をされることはありません。
同業他社の知り合いからヘッドハンティングを受けるケースも
また、「介護職員初任者研修」などの介護の資格を持っている人であれば、訪問介護の仕事をしてる同業の知り合いから「空いている時間があれば掛け持ちをして、うちの仕事も入ってほしい」と、他の事業所から働いて欲しいと依頼されるケースも、この業界では珍しくありません。
ヘッドハンティング(引き抜き)を受けた場合は、まずは「時給、勤務時間、日程」など、条件を聞いて、納得がいくなら今働いている事業所に事情を説明して時間や曜日の調整をしましょう。
無資格の方は「スタッフサービス・メディカル」で資格取得の補助を受けながらスキルアップをするのがおすすめです。
スタッフサービスメディカルでは、「介護職員初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」の資格取得にかかる費用を全額補助してくれます。
また、スタッフサービスメディカルを通じて派遣就業されてる、介護職員初任者研修を修了した登録型派遣スタッフに対して、お祝い金「5万円」を支給してもらえるサービスを実施しています。
このようなサービスを展開している企業は他にはあまり無いので、もしこれから介護資格を取りたいと考えているなら、スタッフサービスメディカルに登録しておくことをおすすめします。
登録ヘルパーが訪問介護事業所間の掛け持ちで注意すべきこととは?
利用者様の個人情報の守秘義務
1番気を付けなければならない点は、掛け持ち先にもう一つの事業所の利用者様の情報を決して漏らさないことです。
利用者様のプライバシーの順守は特に注意が必要です。
ヘルパーには”守秘義務”があることを決して忘れてはいけません。
複数にまたがる場合は複雑なシフトを組まない
2か所以上の仕事を交互に入れるような複雑なシフトにはしないようにしましょう。
しっかりと線を引いて分けておかないと、ダブルブッキング(2か所の仕事が重なる)になってしまっては大変です。
- 曜日によって事業所を決める
- 午前はA事業所、午後はB事業所
というように、自分なりに線引きをしっかりし、2か所から貰ったシフトを、手帳やメモ帳を使用して1つにまとめ、両方の仕事が一目で分かるようにしておきましょう。
仕事の少ないヘルパーは2か所以上の事業所に登録するべきなのか!?
仕事の量が少ないと、どうしても他にも登録したくなります。
ですが、2か所以上から仕事を受けていると、ダブルブッキングのリスクもありますし、何より「管理」や「やり取り」が大変です。
本来であれば、一つの事業所から十分に仕事を貰える方が管理の面でとても楽です。
なので、もし今のあなたが「働き始めてから間もない」状態ならば、もう1,2か月様子を見てから考えても良いのではないでしょうか。
最初の月は数件の同行があり、次の月は実際にその動向先へ一人で仕事に行くようになる。
その後少しずつ仕事を増やしてもらえ、だんだんと落ち着いてくる。
最初は、このようなケースが多いです。
1か所だけから仕事をもらうメリットとしては、
「空き時間を少なく仕事を入れてもらえる可能性が高く、一か所でシフトを作るので、移動時間などを把握できる」ことです。
なので、複数にまたがって登録することが必ずしも正解とは限りません。
特に訪問介護の仕事を始めて3か月くらいでならば、もう少し様子を見て、他への登録を検討すると良いでしょう。
ですが、1つの事業所で入れてもらえる仕事があまりに少ないなら、仕事を沢山抱えている大手や事業規模の大きい訪問介護事業所に転職するのも、安定的な収入を得る1つの方法です。
私の友人のサービス提供責任者は、大手が手掛けている事業所で働いていますが、「サービスを割り当てたいのにヘルパーが少ない」ことでよく悩んでいます。
つまり、人手が欲しい介護事業所は他にもあるので、働きたい時間に欲しい量のシフトを組んでくれる介護事業所に転職することも検討しましょう。