介護職の派遣と正社員の違い。それぞれの特徴を比較してみた
「正社員として働くのが得策か?」
「それとも派遣社員の方が良いのか?」
これから介護の仕事に応募しようと思っている人は、働き方に迷うこともあるのではないでしょうか?
当たり前ですが、正社員には正社員の良さがあり、人材派遣には正社員にはない人材派遣の良さがあります。
この記事では介護の「正社員」と「派遣社員」どちらの雇用形態で働こうかと迷っている方へ向けて、それぞれの違いを誰でも分かりやすく比較しています。
大体の違いは分かるけど、明確に「正社員と派遣はどこがどう違うのか?」違いが分からないというなら、ぜひ参考にしてください。
介護派遣って実際どうなの?登録するメリット・デメリットを業界人がお教えします
介護職における派遣と正社員の違い|比較一覧表
① 雇用面の違い
人材派遣 | 正社員 | |
---|---|---|
雇用契約 | 人材派遣会社 | 雇用会社 |
雇用期間 | 3年 | 無期限 |
━━派遣
派遣の場合、人材派遣会社と雇用契約を結ぶので、働くことになる介護施設とは直接雇用契約は結んでいません。
そのため、3年ルールと呼ばれる「3年の雇用期間」が定められており、雇用期間満了時に、「契約を修了するか?続行するか?」を派遣先である施設と派遣社員本人が決める必要があります。
━━正社員
正社員の場合、働く施設と直接雇用契約を結びます。
施設に雇われているということになるので、雇用期間は定められておらず、施設が定めている定年の年齢まで働くことができます。
② 給料、諸手当の違い
人材派遣 | 正社員 | |
---|---|---|
平均時給 | 約1,414円 | 約1,136円 |
平均年収 | 約288万円 | 約316万円 |
賞与 | × | 〇 |
交通費 | 派遣会社による | 〇 |
住宅手当 | × | 〇 |
資格手当 | △ | 〇 |
退職金 | × | 〇 |
※派遣の平均年収は「1日8時間勤務 年間休日110日」の場合とする
参考にしたサイト:(平成27年 厚生労働省 賃金構造基本統計調査)
(平成27年度 財団法人介護労働安定センター 介護労働実態調査)
(リクルートジョブズ 2017年11月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査)
━━派遣
派遣の場合、パートや正社員と比較して高時給であることが一番のメリットでしょう。
正社員と比べると「時給278円」の差があり、さらに8時間のフルタイムで月22日働いたとすると1か月あたりの時給の差は「48,928円」となります。
資格手当こそはありませんが、介護職員初任者研修や介護福祉士の資格保有者は、無資格者に比べて100円~200円高い時給に設定されていることが多いです。
しかしながら、高時給なものの、派遣の場合は「賞与」がありません。
これは派遣社員の大きなデメリットですね。
高時給にも関わらず賞与がないため、年収は正社員より低い水準となっています。
加えて、交通費の支給は派遣会社によって異なり、基本的には支給されないことが多く、退職金制度もありません。
━━正社員
正社員の場合、時給換算すると「1,136円」と決して高いとは言えない時給額ですが、正社員には「賞与」があります。
賞与に加えて、福利厚生のしっかりしている大体の施設では「交通費・住宅手当・資格手当・退職金」が支給されるなど、諸手当面でのメリットが大きいです。
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③ 働き方の違い
人材派遣 | 正社員 | |
勤務時間 | 自由 | 規定による |
勤務日数 | 自由 | 規定による |
残業 | あり・なしを選べる | 〇 |
異動 | × | 〇 |
キャリアアップ | △ | 〇 |
━━派遣
派遣の場合、勤務時間や勤務日数は自分で決めることができます。
派遣は高時給というメリットがあるため、働いた時間の分だけ給料が貰えます。
ですが、中には「夫の扶養内ギリギリでの給料の調整をしたい」という方もいますよね。
そのような場合は、1日の勤務時間を短くすることや、週2日程度の出勤に抑えることができるなど融通が利きやすいです。
3年という雇用期間が定められていることから、基本的には異動はありませんし、「労働者派遣法」という法律に基づき、本人が望まない残業は禁じられています。
派遣の残業代は「時給+時給の25%」と25%の上乗せとなります
時給1,500円の場合、25%の上乗せで1,875円となり、かなりの高時給になってしまうため、施設側は残業の依頼を派遣にするといったことは率先して行いません。
つまり、派遣は「無理のない働き方」ができるのです。
デメリットとしては、管理職に就くなどのキャリアアップは直接雇用ではないため、目指せないということです。
介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格取得の面でのキャリアアップは可能ですが、あくまで介護派遣の役割は現場職員として働くことに尽きます。
━━正社員
正社員の場合、勤務時間や勤務日数は、施設の就業規則によってあらかじめ定められています。
大体の介護施設では、1日8時間勤務の週休2日制。
特別養護老人ホームやグループホームなどの入所施設の場合は夜勤もありますし、勤務時間や勤務日数の融通は利きません。
大規模施設の場合は、事業所の異動ももちろんあります。
そして、残業も有無を言わさずこなさなければなりません。
ですが、正社員の場合は「キャリアアップ」を目指せます。
離職率の高い介護業界は他の業界よりも比較的若くして管理職に昇格することができます。
管理職になれば給料も上がりますし、仕事の視野も広がります。
これは、正社員のみが持つメリットでしょう。
安定面を重視するなら「正社員」がおすすめ
正社員のメリットは「月給制なので安定している」ことが最大の魅力です。
ですが、正社員の場合は、すべてが施設次第で良し悪しが決まります。
介護職の正社員は、基本的にはローテーション勤務であるため、希望休を固定することも難しく、勤務時間・勤務日数も施設の規定で初めから決められています。
施設が何らかの理由で人員を減らさなければならなくなった場合でも、正社員が解雇される可能性は極めて低く、長期的に務めることができます。
それなりの期間務めることができていると、昇給もするでしょうし、管理職に就くなどキャリアアップも目指せます。
- 勤務時間に縛られてもいい人
- 週休2日でも働ける人
- 賞与が欲しい人
- 仕事は安定感が大切と考えている人
- キャリアアップを目指している人
このように、会社の規定に準ずることができる安定感を求めている人には、正社員の働き方が向いています。
自由に働きたいなら「人材派遣」がおすすめ
派遣は時給が高いというメリットがあるため、短時間であってもそれなりの給料を得ることができます。
ライフスタイルが多様化している今、全員が8時間のフルタイムで働けるわけではありません。
特に子育て中の女性の場合、フルタイムで働き、育児をして、家事までこなすのは結構しんどいものです。
- 高時給を得たい人
- 短時間しか働けない人
- 週の半分以上は休みが欲しい人
- 残業ができない人
- 施設の規定に縛られたくない人
このように縛られることなく自由に働きたい人には、派遣の働き方が向いています。
ライフスタイルに合わせた雇用形態を選ぼう
介護職として働くとき、正社員と派遣どちらが良いのかは、あなたのライフスタイル次第です。
まだお子様が小さい場合は、夜勤や残業が困難である場合が多いので派遣の方が働きやすいです。
また、夜勤や残業をしても問題がない方は、賞与がある正社員が良いでしょう。
仕事を選ぶ段階で、現在のライフスタイルをあまり考えずに雇用形態を決めてしまうと後々後悔したり、しんどい思いをしてしまいます。
しんどい・辛い、と思いながら仕事をしても楽しくないですし、お年寄りにもイライラしてしまうかもしれません。
「仕事は無理なく」が鉄則です。
自分に合った働き方は何なのか、しっかりとライフスタイルに合った雇用形態選びをすることをおすすめします。