医療法人と社会福祉法人。介護職が就職するならどっちが良い? | 介護職辞めたい人のお悩み相談室

医療法人と社会福祉法人。介護職が就職するならどっちが良い?

iryouhouzinnshakaihukusihouzinn介護への就職や転職を考えている方は「就職先の法人」について検討したことはありますか?

法人には様々な種類があり、すべての介護施設や介護事業所はいずれかの法人が運営していますが、法人の種類によって、同じ介護の仕事でも微妙に違う点があるのです。

ここでは介護サービスを数多く展開している「医療法人」と「社会福祉法人」について、「就職するならどっちが良いのか?」という視点で比較してみました。

これから就職、転職をお考えなら参考にしていただければ幸いです。

医療法人について

医療法人とは、医師または歯科医師が、病院や診療所を開設する時に立ち上げる法人です。

医療法人を立ち上げなくても、小さな診療所であれば開設することができます。

しかし、診療所の規模を大きくしたり、看護師や事務員の数を増やしたり、又は病院経営に乗り出す場合は、医療法人を立ち上げる必要があります。

この構図は、通常のビジネスとほとんど同じです。

売上金額が小さい内は、個人事業主としてビジネスを展開していても問題ありませんが、年商が数千万円や億円単位になると株式会社を立ち上げた方が効率よく仕事ができます。

ただ、日本では原則、「株式会社という法人」が病院や診療所を開設することができないので、医師たちは医療法人を立ち上げるのです。

社会福祉法人とは?

社会福祉法人が開設する介護施設といえば「特別養護老人ホーム」つまり特養です。

社会福祉法人は「介護事業を行っている」という点では医療法人と似ていますが、「法人の性格」としては、学校法人や宗教法人に似ています。

社会福祉法人と学校法人と宗教法人は「公益法人」といい、もしその法人を解散することになった時に財産が残っていたら、その財産は国に納めなければなりません。

社会福祉法人の理事長たち経営者が、その財産を貰うことはできないのです。

医療法人や株式会社であれば、解散のときに残った財産は経営陣がもらうことができます。

医療法人と社会福祉法人の給料の違いは?

「どっちが給料良いのか?」

これは皆さん気になることでしょうが、給料や福利厚生に関しては、医療法人と社会福祉法人ではあまり差がありません。

つまり、「収入面でどちらが得か?」は判断できないということになります。

また、子育てしながら働いている人にとっては、託児所の有無が気になるところですが、これについても、どちらかの法人の方が多く持っているという傾向はありません。

託児所付きの介護施設を探すには?

医療法人での介護職の仕事とは?

医療法人の介護職場は、大きく分けて2つあります。

1つは「病院」や「診療所」などの医療機関です。

職名は「看護助手」といい、文字通り看護師の助手のような仕事を任されます。

つまり、患者の体を拭いたり、食事の世話をしたり、排泄介助などで、いわゆる普通の介護となんら変わりありません。

医療法人の介護職場の2つ目は、「介護老人保健施設」です。

通称”老健”は、医療法人が運営していることが多く、それは老健が、病院と自宅の中間施設という位置付けだからです。

治療の必要はなくなったけど、自宅に戻すこともできない入院患者を、老健に数カ月入居させてリハビリを受けてもらい、自宅復帰を目指します。

老健には医師も看護師もいますが、ほとんどは介護職で占められます。

また老健での入居者の生活の様子は、有料老人ホームや特別養護老人ホームとほとんど同じなので、有料や特養に過去に勤めていた経験があるならスムーズに対応できるでしょう。

関連記事:病院の介護福祉士の求人や仕事内容について

社会福祉法人での介護職の仕事とは?

新聞やテレビニュースで「施設に入れない待期高齢者問題」が取り上げられますが、この施設というのは特養のことを指しています。

特養は料金が安い上に、お看取りまでしてくれるので、利便性が高い介護施設として大人気なのです。

日本人が「介護」と聞いて思い浮かべる介護を展開しているのが、特養です。

特養の入居者や入居者家族たちは「もう医療を受けても改善することはないだろう」と考えていることが多いので、特養ではほとんど医療行為は行われません。

ですから、特養の介護職が医療と連携した仕事をするケースは少ないでしょう。

その代り、特養の介護職は「人生の最期をどうやって幸せに過ごさせてあげるか?」ということに集中できるので、これは現場で働く介護スタッフにとって大きなやりがいになるでしょう。

関連記事:社会福祉法人の退職金の相場や共済の仕組みについて

医療法人と社会福祉法人の仕事の違いは「介護メインか?」「医療連携か?」

「医療法人と社会福祉法人の2つを比較した場合、就職するならどっちが良いのか?」は、あなたが職場や仕事に対して、「何を求めるか?」によって異なります。

介護職が感じる2つの法人の1番の違いは

  • 介護事業をメインにしているか?(社会福祉法人)
  • 医療連携か?(医療法人)

でしょう。

医療法人と社会福祉法人の法人の違いによる介護職のメリット・デメリットは次の通りです。

メリット デメリット
医療法人 医療との連携が図れる 法人のメインの事業はあくまで医療
社会福祉法人 法人のメインの事業は介護 医療連携・医療知識を学ぶ機会が少ない

社会福祉法人に向いている人

shakaihukusihouzinnもしあなたが、亡くなりそうな高齢者や回復が見込めないお年寄りのお世話をする、いわゆる「ザ・介護」を仕事にしたい介護職であれば、「介護事業をメインにしている社会福祉法人の方が向いている」と言えます。

また、社会福祉法人は利益を追求してはならないことになっているので、「介護=福祉」という考えを持っている介護職は肌が合うと感じるでしょう。

医療法人に向いている人

iryouhouzinn医療機関と連携する業務にも、介護の仕事の魅力は多くあります。

この魅力を求めるなら、医療法人が良いでしょう。

介護職であっても医療の知識を身に付ければ、仕事の幅がグンと広がります。

また、厚生労働省は介護と医療の連携強化を推奨しているので、介護職が医師や看護師と一緒にケアに取り込むことは「進んだ介護」と言えるのです。

また、介護現場は今、深刻な人手不足に悩まされていますが、10年後や20年後の長期的な視点で考えると、場合によっては介護職が余る可能性も出てきます。

そうなると「医療知識を持った介護職さん」と「医療をあまり知らない介護職さん」では、給料に大きな差が生まれたり、雇用の面でも大きく違いが出る可能性は高いでしょう。

こうしたことを合わせて考えると、介護職員として医療法人に勤めるメリットはとても大きいと言えます。

介護職員が行う仕事に関しては2つの法人にそれほど違いはない

医療法人は「治すこと」を目標にしており、社会福祉法人は「幸せ」を目指しているので、その違いが現場に現れることもあります。

「どちらに就職・転職した方が良いのか?」は、あなたが求めるもので違ってきますが、2つの法人を比較してみると

  • 医療
  • 健康
  • 幸せ
  • お看取り

が重要なキーワードになります。

「結局どっちに就職した方がいいのか?」は、トップに立つ人間の介護方針や方向性も異なりますし、あなたが求める介護観によっても向き不向きが出てくるでしょうが、個人的な意見を言わせていただくのであれば「医療法人に就職する」ことをおすすめします。

これは、医療知識を持つ介護員が今後は更に重要視されていくと感じているからです。

待遇面に関してはそれほど2つの法人による差はありませんが、個人的には医療法人で経験を積んだ方が、幅広い知識や視点・考え方を持つことができると感じています。

なので、もしも医療法人か?社会福祉法人か?で悩んでいるのであれば、まずは医療法人の介護求人から探してみてはいかがでしょうか?

医療知識を身に付けることが、今後のあなたの介護業界でのキャリアアップに繋がることを願っています。

介護求人サイトの正しい選び方と活用方法

あとがき

ただ、医療法人が運営していることが多い介護老人保健施設の特養化も近年目立っています。

医療法人が運営する老健は、本来は「自宅復帰を目指す介護施設」になりますが、重症の入居者が多くなっている老健では、お看取りが珍しくなくなってきているのです。

こうなると、高齢者を持つ家族にとっては、高齢者を老健に入居させようが、特養に入居させようが、大きな違いはありません。

つまり、高齢者やそのご家族からすれば、どちらに入居させても同じという認識になってきているのです。

これは現場で働く職員も同じで、医療法人でも社会福祉法人でも「介護職の仕事としてはあまり変わらない」という側面もあるのです。

ただ、現状ではまだまだその法人が持つ役割が異なるので、就職・転職をお考えなら2つの法人の違いをしっかりと把握し、自分に1番合っていると思える就職先を探してください。

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