訪問介護の「買い物支援」ヘルパーの同行・代行の注意点 | 介護職辞めたい人のお悩み相談室

訪問介護の「買い物支援」ヘルパーの同行・代行の注意点

買い物支援は、介護保険を利用してのサービスになるため、贈答用のお菓子や、趣味の用品は対象にならないなど、日用の必要品以外の買い物は認められていないなど、様々なルールがあります。

買い物の同行・代行でヘルパーが気を付けなければならない点にはどんなことがあるのでしょうか?

同行時、代行時の注意点についは詳しく見ていきます。

 

訪問介護の買い物支援。同行・代行の注意点

買い物「同行」でヘルパーが気を付けること

・移動手段

買い物の移動手段は、介護保険内のものと利用者さまの実費になるものがあるので、ケアプランの指示通りに行動することが大切です。

行先や時間についても制限があるので、移動時間が長くかかる場合は、買い物同行の適用範囲内かを確認しておくようにしましょう。

介護タクシーの利用については、買い物に利用する場合「福祉タクシー」は利用できますが、介護保険を使って介護タクシーで買い物に行くことは認められていません。

介護保険を使って介護タクシーを使う場合は、ケアプランや訪問介護計画書に盛り込んでもらう必要があり、通院など特定の時に利用が認められています。

また、ヘルパーの車に乗せてお店に移動することはできません。


・道順・ルートの把握

事前にお店までの道を把握しておきましょう。

特に気を付けたいのが「行き慣れていないお店へ行く」場合です。

買い物のルートは、利用者さまの安全を第一に考えて行動しなければなりません。

例えば、車いすの利用者さまの買い物に同行する場合、踏切を通る場合に、前輪が線路にはまって動けなくなることもあります。

そのような事態にならない為にも、予め安全なルートを把握しておいたり、線路を渡る場合は、斜めに進んでタイヤと線路が平行にならないよう気を付けるようにしましょう。

また、急に尿意を催す場合もあるので、先にトイレ介助を済ませてから出掛けることを忘れないようにしたり、多目的トイレの場所や、交通機関のエレベーターの位置なども把握しておくようにしましょう。


・持ち物の確認

買い物に同行する際は、事前に持ち物を確認しましょう。

特に気を付けたいのが持病がある人の同行です。

持病がある利用者さまの場合は、薬の確認が必要な場合があるので、利用者さまの状況をしっかり把握しましょう。

買い物「代行」でヘルパーが気を付けること

・購入する商品の把握

利用者さまに代わって商品を選ぶのは、そう簡単なことではありません。

言葉一つを取っても、利用者の頭の中で考えていることと、ヘルパーが理解することが必ずしも一致するとは限らないからです。

ですから、買い物の内容については、ちゃんと話し合ってから行く必要があります。

買う商品が決まっているなら、事前に商品名までしっかり聞いてメモしておくことがおすすめです。


・購入する商品の想定金額を聞いておく

一つ一つの商品について利用者さんが想定している金額も聞いておくようにしましょう。

「この商品に関しては高くてもいいから良いものを買ってきてほしい」

「月々の食費を抑えたいからできるだけ安い食材を選んでほしい」

など、利用者さまによって要望が違います。

良かれと思って安い商品を買ってきたら、「こんな不味いもの買ってくるな」と怒られる場合もあるので、できるだけ商品名を把握する、具体的な商品名がないなら、想定金額や好きなメーカーなど、嗜好をある程度でも把握しておくようにするのがおすすめです。


・お金の管理

必ず預かった金額を利用者さまと、まずは口頭で確認して、預かった金額を紙に書き出してから行きます。

買い物を終えて帰ってきたら、買った品物をチェックしてもらい、レシートを見せ、使った金額とおつりを確認し、実際のおつりが足りているかを確認します。

お金の問題は大きなトラブルに発展する可能性も高いので、お互いの信頼関係の為にも、きっちり持って行った金額と残りの金額を利用者様と確認してください。

これは、「ヘルパーがお金をくすねた」というような無用なトラブルを避けるためです。

預かったお金は、いくら預かったのか?を紙に残しておかないと、利用者さまが多くお金を預けていたと勘違いするケースも出てきます。

3000円しか預かっていないのに、10000円渡したのに何でこれだけしかおつりがないんだ!と勘違いして怒る人もいるので、お金のやり取りは十分に注意する必要があるでしょう。

市販の薬を買ってきてと頼まれたら

「ドラッグストアに『○○○○○』が売ってるから買ってきて」

買い物代行で市販の薬を買ってきてほしいと頼まれたことはありませんか?

ケアマネの計画にも書かれていないので買ってきていいのか判断に迷うこともあると思いますが、市販に販売されてる薬であれば、基本的には一般の買い物と判断しても良いでしょう。※ただし、商品名が正確に確認できるもの。常備薬や普段から愛用されてるものであればそれほど問題ないと私は判断します。

ですが、市販の薬の購入は法令的には問題ありませんが、ある種「グレーゾーン」の買い物。

利用者さまによっては、病院から貰った薬を飲んでいらっしゃるので、薬の飲み合わせの問題もあったり、利用者さまがその薬を適切に使用できるかと言う問題も生じてくるからです。

薬に関してはケアマネに聞いても「そんなの医師に確認してください」としか言いようがないので、判断に迷う場合はケアマネージャーを通じて医療機関に確認を取るなど、十分に注意しなければなりません。

買い物同行中に利用者が薬を買いたい場合は?

ご家族や事業所から「薬局で薬を買わないでほしい」など、特別な事情の無い利用者さまの場合は、薬局で薬を購入することは可能です。

ですが、その場合でも薬剤師と利用者さまが直接話しをして市販薬の購入を決めてもらうようにしましょう。

嗜好品の買い物をお願いされた場合はどうする?

中には「たばこ」や「お酒」などの「嗜好品を買ってきてほしい」と頼まれることもあります。

しかし、介護保険を使っている場合、ヘルパーが嗜好品を買ってくることはできません。

嗜好品の購入はできませんが、利用者さまのお話を聞くと「あの人は買ってきてくれた」というケースにも出くわします。

 

なぜ、このような事が起こるのでしょうか?

 

これは、ヘルパー個人個人の「知識量」にかなりの差があり、ダメという事を知らずに買ってきてしまう人が一部いるからです。

中には、こっそり買ってくるようなヘルパーも一部いるかもしれませんが、そういう人は極めて稀だと思います。

何故なら、訪問ヘルパーで働いている人は、皆、プロ意識が強い人が多く、自分の仕事に誇りを持っているからです。

ですが、現場で見ているとよく分かりますが、ヘルパー個人個人の知識量や経験値には、歴然とした「差」があるのです。

 

知識不足の原因は何か?

 

これは、資格取得までの期間や勉強方法に違いがあるからです。

例えば、私は介護職員初任者研修の資格を半年間、資格学校に通学して取得しています。

ですが、通信で資格を取得されている方は、勉強する期間が短く、提出するレポート部分はしっかり読んでいるとは思いますが、すべての人が端から端まで教科書を読んでいるかは疑問が残ります。

ここに知識量の差が生まれているのです。

利用者さまは「何がしてもらっても大丈夫で何がダメなのか」をはっきり理解はしていないので、ヘルパーがルールをしっかり守らなくてはなりません。

禁止されてることを勝手にやってしまうと、後で事業所に迷惑がかかることもあるので、自分を守る意味でも買ってきて良い物か分からない場合は、必ず確認を取りましょう。

買い物同行サービスは訪問介護の中でもかなりグレーゾーンの仕事

「買い物同行」は、「訪問介護」サービスの中でも、かなりグレーゾーンにあるサービスと言えます。

その理由は、介護事業所の判断によって対応が異なるケースが多々あるからです。

必要とする支援は、個々の利用者さまによっても異なりますし、判断の難しい買い物も中にはあるので、まずはどの行為に支援が必要なのかをしっかりと判断して支援するようにしましょう。

もし、判断に迷った時は、1人で勝手に判断せず、登録している訪問介護事業所やケアマネージャーに電話して確認してから行動しましょう。

その方が自分自身を守る「保身」という意味合いでも重要な判断になります。

ただ、支援中は分からなかったとしても即対応を求められるので、その場は自分が正しいと思う無難な選択で柔軟に対応して、後から疑問点があればまとめて質問し、不安要素を1つでも少なくなるようしっかりとした知識を身につけるようにしましょう。

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