社会福祉協議会の社会福祉士の仕事内容、給料、役割ってどうなの?現職員がすべて教えます
社会福祉士の仕事をしたいと思ったとき、老人ホームやデイサービスなどの生活相談員といった仕事もありますが、人気があるのが『社会福祉協議会でのお仕事』です。
特に地域福祉に興味のある人にとって社会福祉協議会は憧れの職場です。
しかし、具体的にはどういった仕事をしているのか知らない人も多いでしょう。
そこで、現職員が社会福祉協議会のお仕事についてアドバイスしていきます。
社会福祉協議会の定義とは?地域の中でどのような役割を担っているのか?
まず、社会福祉協議会とは地域の中でどういった役割を担っているのかと言うと
“社会福祉協議会は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織です。昭和26年(1951年)に制定された社会福祉事業法(現在の「社会福祉法」)に基づき、設置されています。
社会福祉協議会は、それぞれの都道府県、市区町村で、地域に暮らす皆様のほか、民生委員・児童委員、社会福祉法人・福祉施設等の社会福祉関係者、保健・医療・教育など関係機関の参加・協力のもと、地域の人びとが住み慣れたまちで安心して生活することのできる「福祉のまちづくり」の実現をめざしたさまざまな活動をおこなっています。
たとえば、各種の福祉サービスや相談活動、ボランティアや市民活動の支援、共同募金運動への協力など、全国的な取り組みから地域の特性に応じた活動まで、さまざまな場面で地域の福祉増進に取り組んでいます。”
と定義されています。
少し難しいですが、簡単に一言でまとめると、『地域住民がより良い暮らしをできるように、地域と協力し、サポートをするお仕事』になります。
社会福祉協議会の職員と公務員は違うの?
社会福祉協議会の職員は公務員ではありません。
公務員と間違える人が非常に多いですが、そもそも、社会福祉協議会は民間団体なので一般のサラリーマンと同じです。
ただ、市町村からの事業委託や公募によって財源を得ているので、元をたどれば税金で運営しているイメージになります。
そういったことから、市町村によっては同じ役場の中に併設されていることもあり、待遇などもその市町村の公務員と似たような感じになっている事業所が多いです。
そのため、地域住民や地域役員であっても、「社会福祉協議会の職員と公務員は同じだ」と勘違いされている人も多いのが実情です。
地域の中には公務員というだけで毛嫌いする人も多く、社会福祉協議会の職員も同じだと思われて、地域から協力してもらえないといったこともあります。
社会福祉協議会は主にどういった業務があるの?
地域支援
これが一番多い仕事です。
地域住民と連携し、地域の暮らしを豊かにするためにサポートしていきます。
具体的に仕事内容を説明すると、
- 各地域で行う食事サービスや子育てサロンなどのお手伝い
- 学校で行う防災訓練や福祉体験の実施
- 講演会の開催
など、業務は様々です。
地域をまとめる会長や、地域で困っている人の支援を行う民生委員などと、うまく連携し、協力していくことが必要です。
難しいのが、地域が行うことに合わせていく仕事なので、必ずこの業務をするといったマニュアルがあるわけではないことです。
その地域で取り組んでいる事業内容によって変わることもあり、隣の地域へ異動したら「これまでと全く業務内容が違った」ということもあります。
ボランティア事業
このボランティア事業は各社会福祉協議会によって名称は違いますが、「ボランティア活動センター」といったような名称で、ほとんどの事業所で設置されています。
この事業は、私たちがボランティア活動をするのではなく、ボランティア活動をしたい人(団体)とボランティアを必要としている人(または施設等)をマッチングさせる仕事です。
例えば、「ギターが得意だけど、どこかで披露できる場所はないのかな?」と相談があればまずはボランティア登録をしてもらい、デイサービスなどの施設から「ギター演奏ができる人がいないか」と相談があればその両者をマッチングさせます。
必要に応じて顔合わせや打ち合わせにも参加することもあります。
しかし、ただマッチングさせればいいわけではなく、聞いていた話と違うといったクレームなども多いため、そうならないように事前調整を入念に行う必要があります。
高齢者や障害者への支援
地域で困っている人への支援も行います。
主に高齢者の支援を行う地域包括支援センターが併設されている事業所が多く、時には連携を図ることもあります。
コミュニティーソーシャルワーカーが配置されていることが多く、地域で孤立している高齢者や障害者、生活困窮者を必要なサービスに繋がるまでの間、代わりに支援を行います。
介護施設の相談員であれば、基本的にその施設の利用者に関することですが、コミュニティーソーシャルワーカーは全地域住民が対象になるので、相談内容も様々です。
幅広い知識が求められます。
生活福祉資金事業
生活福祉資金事業とは、全国社会福祉協議会の元、行われている事業であり、高齢者や障害者、生活保護受給者、その他の低所得世帯に低金利でお金を貸す事業です。
例えば、仕事を退職し、次の仕事が決まるまでの生活費がない人に、それまでの間の生活費の貸付けや、子どもが私立高校や大学へ進学したいが、まとまった学費が支払えず困っている世帯への貸付けなどを行います。
しかし、貸付けであるため、条件も厳しく、もちろん審査もあります。
あくまでも自立するまでの間、生活保護を受けなくてもいいように貸付けるのであり、すでに多額の借金等で返済能力がない場合や、就労の見込みがないなど、自立するのが難しい人には貸付けできません。
この事業はお金を貸すことだけが目的ではなく、お金を貸さなくてもいいように支援することも必要となります。
生活困窮者自立支援制度
これは平成27年度より開始された生活困窮者の支援制度です。
- 働けなくなり、収入ゼロでこれからどうやって生活をすればいいのかわからない
- 次の仕事が決まるまでの間に家賃が支払えずに住居を失う可能性がある
- 就職するのが不安
といった、生活全般に関しての困りごとの相談に乗る窓口が各市町村に設置されました。
市町村によっては他の民間企業がこの業務を行っていることもありますが、社会福祉協議会の職員が担当していることが多いです。
これは相談範囲が広く、直接支援を行うこともありますが、必要に応じて生活保護課やハローワークの担当者へと繋ぐこともあります。
家計相談や、上記で紹介した生活福祉資金事業と連携して支援を行うこともあります。
相談の範囲が広く、就労支援に関する知識や生活保護制度、公的年金に関することなど、幅広い知識が求められます。
あんしんサポート事業
これは高齢者や生活保護受給者、精神疾患などで止むを得ず金銭管理ができない人に代わって金銭管理を行うサービスです。
家賃などの必要な生活費が支払えないといったことや、不当な契約でお金を騙し取られることなどを未然に防ぐ役割があります。
ただお金を預かるのではなく、計画的にお金を使えるように、指導していく役割もあります。
といったように、社会福祉協議会では色々な事業があります。
しかし、これらは主な業務であって、各市町村の社会福祉協議会によっては行っていない事業や、独自の事業を行っている場合もあります。
社会福祉協議会での社会福祉士の役割とは?
社会福祉士の基本的な役割は、主に『地域や相談者のニーズを聞き出し、バックアップをする』ことです。
しかし、この理念を間違えると、ただの何でも屋さんになってしまうので注意が必要です。
あくまでも主体は地域や相談者です。
よくあるケースですが、社会福祉士が「相談者が困っているから助けたい」と感情移入してしまい、相談者に代わって何でも支援してしまうことがあります。
そうではなく、相談者本人に、誰かがやってくれるのではなく、あくまでも自分に関する問題であることを認識してもらうために後押しするのが社会福祉士としての役割です。
高齢者や障害者の場合はどこまでの支援が必要か、本人の能力を見極める力が必要です。
社会福祉協議会に勤める社会福祉士の給料ってどれぐらい?
社会福祉協議会の社会福祉士って実際どれぐらいの給料か気になりますよね。
これは嘱託職員の給与例ですが、毎月の収入はだいたい20万円〜22万円ぐらいが相場でしょうか。
しかし、もちろん市町村によって平均給与は異なります。
賞与があるかどうかも市町村によるため、平均年収は全国平均より低いことが多いです。
介護士は夜勤手当がありますが、社会福祉協議会は夜勤がないので、毎月の給与が介護士より低いこともあります。
正社員であっても、新入社員であれば嘱託職員と毎月の給与に差はほとんどありません。
正社員であれば賞与はだいたい年に3~4ヶ月分支払われる市町村が多いです。
社会福祉士の給料や平均年収を徹底解説!給与アップのポイントも
【求人探し】社会福祉協議会の正社員になるためには?
一般枠での正社員の採用試験を受ける方法もあります。
ですが実情としては、嘱託職員などの経験者が正社員の採用試験を受け、合格すれば正社員になれるパターンが多いです。
正社員の採用試験を受けるのにも、社会福祉士の資格保持者であることを条件とすることが多いです。
次に求人情報ですが、ハローワークや各社会福祉協議会のホームページ、求人サイトなどに採用情報が掲載されるので、注意して見ておきましょう。
介護職などと比べると募集枠も少ないので、求人サイトなどに登録しておき、チャンスを逃さぬようにしましょう。
通年、一般企業と同じで3月末で退職する職員が多いので、2月ごろの求人は特にチェックしておきましょう。
社会福祉協議会でのお仕事が決まるように、応援しています。