雑務・雑用ばかりさせられる介護職の悩み
「自分の仕事は雑務ばかり!」
「なんで私にだけ雑用を押し付けるの!」
そんな風に思っている介護職は少なくないのではないでしょうか。
介護職が抱えるストレスの中に「看護師から指示される仕事」がありますが、これも人によっては雑務・雑用と感じてしまう方もいるでしょう。
特に新人の介護職員は、看護師からだけでなく、同僚や先輩からも「これ、私の仕事?」と感じる業務を命じられることがあり、納得できない面も少なくないと思います。
ここでは、これから介護を始めようとしている人や、介護の世界に入って日が浅い方に、「介護にはこんな雑務や雑用がある」というのを紹介しながら、先輩たちがどうやってこのストレスを乗り越えたのかをお教えします。
介護職が雑務・雑用に感じる仕事
なんで私ばっかりが「ゴミ出し」させられるの?
介護施設に勤める介護職が、自分の事を雑用係と感じてしまう仕事に「ゴミ出し」があります。
交換した汚れたオムツを所定のゴミ箱に捨てる等は、オムツ交換という「本来の介護」の一部なので、不満はないと思います。
ですが、不満が出やすいのは、そうやって集められたゴミ箱を回収して、ゴミ処理業者が運べるように建物の外のゴミステーションに置きにいく仕事です。
介護で発生するゴミは、オムツの他に、大量のティッシュや掃除ゴミ、残飯などがあり、いずれも臭いが強烈ですし、施設中を歩き回ってこれら集めるのは辛いし、かなりの重労働です。
しかもゴミ出しに関しては、一部の先輩職員は免除されているケースが多く、新人専用の仕事になっているので、「なんで私ばっかり」と思うのは当然の感情でしょう。
レクリエーションの準備に関する地道な作業
介護施設では夏や敬老の日などに大規模なレクリエーションを開催します。
豪華な食事を出したり、ゲームや仮装大会などで盛り上がることでしょう。
レクリエーションには入念な準備が必要で、この作業をしているとき、施設の職員が一体になります。
しかし、新人に与えられる作業が、会場の装飾品作りや、玉入れゲームの玉作りだけだった場合、「雑用をやらされている感」がハンパないので、これは大きな不満に繋がっています。
しかも、レクリエーションの本番の日に、司会進行などの目立つ仕事は、ベテランの介護職員が担当します。
レクリエーションには高齢者家族もやってきますので、派手な役をしている職員は一目置かれますし、レクリエーションが終った時も、御家族が「楽しい会でした」「うちの母も喜んでいました」と声をかけてくれるのは、施設長や司会者たちだけという事も少なくありません。
若い介護職員は「裏方の仕事の重要性は分かっているけど、もう少し私たちの見せ場も作ってほしい」と感じるのではないでしょうか。
委員会やカンファレンスでの残業
介護施設では「褥瘡対策委員会」「感染予防委員会」「火災予防委員会」など沢山の会合があります。
こうした委員会は、大抵は日勤の仕事が終わった午後6時頃から始まり、終わるのは少なくとも1時間はかかります。
1カ月に1度、定期的に開かれる委員会もあるでしょう。
こうした集まりで発言するのは、施設長や委員長を務める年配介護員ばかりで、若い新人の介護職は、ただただ時が過ぎるのを待つだけの「苦痛の時間」です。
また、利用者の現状と今後について話し合うカンファレンスへの参加が、全職員に義務付けられている介護施設もあり、これも大体1~2時間かかります。
「そんなのは紙に書いて、職員に渡して『読んでおいてね』で終わるじゃん!」とフラストレーションがたまります。
新人は座ってるだけで残業代が貰えるからいいじゃん!と言う人も中にはいますが、自分がいなくても進んでいくなら本当に必要かどうかも不安になりますし、何より肩身も狭いです。
こんな状態なら早く帰らせてくれというのが本音の人も多いんじゃないでしょうか?
また、もっと悲惨な場合は、通常業務を終えた後の委員会やカンファレンスに関しては、残業代が支払われなく、サービス残業となっている場合です。
介護の仕事は陰ながら支える業務が多い
- ゴミ出し
- レクリエーションの準備
- 委員会やカンファレンス
と、介護職が雑用と感じる3つの仕事を紹介しましたが、果たしてこれらは本当に必要な業務なのか?疑問に思う方もいるかもしれませんが、全て業務を円滑に行うための重要な仕事です。
ゴミ出し、レクリエーションの準備、委員会やカンファレンスというのは、一見すると「本来の介護」からは遠いと感じるかもしれません。
ですが、こうした裏から支える仕事こそが利用者を支えているのです。
例えば、ゴミ出しですが、介護施設内を清潔に保つために欠かせない業務になります。
介護施設は絶対に不潔であってはならないので、絶えず掃除をする必要がありますし、まとめて一度に大量のゴミを処理業者に出すことで、コストダウンを図ることができます。
コストダウンは経費削減に直結し、削減された経費が人件費に回れば、あなたの給料が上がる可能性も出てくるのです。
また、レクリエーション準備も、施設で働く介護職員の重要な仕事です。
もし、レクリエーション会場の壁に、なにも飾り付けがされていなかったら、とても寂しい催しになるでしょうし、また、玉入れゲームの玉の数が少なかったら、お年寄りの楽しさが半減してしまいます。
そして、委員会やカンファレンスへの参加ですが、これは「重要」というより→「欠かせない必須の業務」と言えます。
委員会は、介護高齢者の安心安全な生活ための打ち合わせの場ですし、カンファレンスは全ての介護職員がお年寄りについて知る、またとない機会です。
雑務や雑用と感じる仕事は、介護を円滑に行うために必要不可欠
若い介護職の多くは「本来の介護」と「雑務や雑用」を、別物として考えてしまっているかもしれませんが、本当はそうではありません。
雑用仕事は本来の介護を行うための重要な準備なのです。
「雑用ばかりさせられている」と、今は感じているかもしれませんが、あなたの今やっている仕事が高齢者を支えているのを忘れてはいけません。
また、「どうして自分だけ押し付けられるの?」と感じた時は「先輩がやってる仕事を今の自分ができるのか?」と一度考えてみてください。
例えば、通院介助ですが、これは単に施設の入居者を病院に連れて行くだけの仕事ではありません。
入居者が認知症だったり、重病を抱えていたりすると、診察後に医師や看護師から、病状の説明を受けたり、施設で行わなければならない関与を指示されたりすることもあります。
それをきちんと理解し、施設長に報告し、施設で実践させなければならないのです。
こうした難しい仕事を任されている先輩職員が、例えばゴミ出しを免除されるのは当然といえば当然なのです。
雑用係にさせられていると感じさせない為には、言葉でその仕事の役割と重要性を教える
では、何で年齢の若い介護職員は、自分が雑用係にさせられていると感じてしまうのでしょうか?
それは、先輩や施設長たちが、介護業務を円滑に行う為の重要な仕事というのをきちんと説明できていないからではないでしょうか?
スタッフ同士で意思の疎通が取れていなければ、それは不満となり、人間関係にひずみを生みますし、先輩と後輩の信頼関係も崩れてしまうので、チームケアに支障をきたしたり、最悪そのスタッフが退職してしまうという事態にも繋がりかねません。
このような事態を防ぐためにも、まずは新人に「その業務が利用者介護にどのような影響をもたらすのか?」「何であなたにお願いしているのか?」を丁寧に教えてあげるべきです。
まずは、ここをしっかり理解してもらっていないと、単に自分にだけ作業を押し付けられている感覚になりかねないので、上に立つ人間はこういうところもしっかりケアすることが大切です。
不満顔の介護職員がいたら「この施設が円滑に運営できているのは、あなたがやってくれているこの仕事のお蔭」だというのを、言葉で伝えてあげる必要があるのです。
上に立つ人達は、新人さんに全て任せるのではなく、時にはゴミ出しやレクの準備を率先して行うことも重要です。
また、若い介護職員は、先輩や施設長に「この仕事をやる意味って何なんですか?」と聞いてみるのも良いでしょう。
先輩も施設長も、過去に必ず経験している仕事なので、その雑務・雑用と感じる仕事をこなしてきたから今の自分があると言った話をしてくれるかもしれませんよ。