介護職を蝕むうつ病。疑うならまずは診断チェック
介護士の仕事というのは純粋に利用者さんのケアだけしていれば務まるものではなく、同僚、上司、利用者さんやそのご家族、看護師、施設に出入りする人など、多数の人とコミュニケーションを取りながらの業務になります。
なので、単に一人で黙々と作業をしていればいいという訳ではないので、人間関係や仕事上のストレスから精神不安を抱える介護職の方も少なくないのです。
少し疲労が溜まっているくらいなら、休日に買い物したり、友人や恋人、家族と過ごしてリフレッシュすれば、嫌な事も忘れて、気持ちもリフレッシュできるかもしれませんが、うつ病となるとそうはいきません。
介護職として働くうちに、気付かぬ間に心を蝕む鬱・・うつになる原因や介護職との関係性、そしてうつ病のセルフチェック表をご紹介させていただきますので、一度、ご自身の症状と合わせてみて自己診断してみてください。
介護職とうつ病。理解してくれない職場
介護業界に蔓延していると言われているうつ病。
介護士が鬱になる原因は色々ありますが、家族の介護をしている方たちでも、4人に1人が鬱に悩んでいるくらいなので、大勢の人数を対応する介護職の方が精神的な不安や悩みを抱えているケースは、他の職業と比べても圧倒的に高いのです。
ですが、そんな心の中の精神不安とは裏腹に仕事はいつも山積み。
精神的に病んでいても目の前に介護を必要とする利用者の方が沢山いるので、弱音を吐かずに目の前の仕事をこなさなければなりません。
このように心と体の矛盾が常に起こっていると、うつ状態になりやすいのです。
鬱って聞くと、どちらかと言えば男性がなりやすいというイメージを持たれる方も多いと思いますが、女性も例外ではありません。
鬱状態になると仕事に対してモチベーションが上がらず休みたくなったり、体調不良で急に休みたくなったり、時には辞めたくなったりします。
ですが、急に休むことを上司に伝えても、ほとんどの職場は理解なんてしてくれません。
「え!?今日休み?困ったな~」
「また休むの?今月これで何回目!?」
というように、休むというとほとんどがバッシングの嵐です。
中には職員の体を気遣って「体調悪い時はお互い様だから、ゆっくり休んでね!」と言ってくれるところもありますが、やはり、急に休むことが続けば、段々と上司の顔色も変わってきます。
うつになれば、急な体調不良により突然休みを取らなければならない事もありますが、急な休みを取る事が続けば、同僚からも上司からも「○○さん、また休みだって」と、信頼をドンドン落としていってしまうのです。
うつ病と診断されていない介護士は多い
ですが、「うつかも!?」とは思っても、実際に鬱と診断されている人はかなり少ない。
これは、ほとんどの方が医師の診察を受けている訳ではないので、正式にうつ病を診察されている方はほとんどいないのです。
なので、潜在的に鬱の可能性がある介護士というのはごまんといる可能性が高いのです。
うつ病になる原因は精神的な部分(ストレス)が大きい
では、鬱になる原因は一体何なのでしょうか?
仕事内容、上司や同僚とのトラブル、莫大な仕事量、給料への不安、家族や恋人とのトラブル、将来不安。
色々な要因が複雑に絡んでいるので、これが原因になっているというのは断言できませんが、一つだけ言えるのは、間違いなく精神的なストレスが大きく関与しているという事です。
うつは心の病とも言うように、精神的な部分が非常に大きく、そして、体にできた傷なんかと比べても、回復するのも圧倒的に遅い。
心のケアが非常に重要になってくるのです。
うつ病かも!?と思ったら、まずは診断!セルフチェック
もしも、今のあなたが鬱を疑うなら一度、自己診断してください。
以下に20の項目をご用意させていただきましたので、いくつあてはまるか数えてみて下さい。
2 寝つきが悪く、朝が辛い
3 気分が落ち込むことが増えた
4 体がだるく、体調が優れない
5 体重の増減が激しい
6 毎日がつまらなく、価値のあるものを感じない
7 思考力の低下や1つの作業に集中できなくなった
8 物事を考えていると常にネガティブだ
9 自分を責めることが増えた
10 寂しい、悲しいという感情になることがよくあって、時に泣いてしまう
11 これまでは普通に何事も無くできていた簡単な仕事が出来なくなった
12 仕事中はそれほどでもないが、朝と夜がとても辛い
13 美味しいものを食べているのに美味しいと感じられない
14 トイレに行きたい訳ではないのに夜中に何回も目が覚める
15 不眠症ではないが、ここ最近、一度寝るとずっと寝てしまうようになった
16 口数が以前より減ったと思う
17 死について考えるようになった
18 今日は大して作業をしていないのに、かなり疲れてしまったという日が多い
19 何をしても気が滅入っている自分がいる
20 ここ1カ月くらい、 死にたい、消えたいと思う事が何度もある
1~5 ほとんど問題はないでしょう。このくらいは誰もが抱えていると思います。
6~10 精神的な疲れが目立ちます、今は少し休息が必要なんじゃないでしょか?
11~15 かなり危険な状態です。あなたの負担になっていることは何ですか?それを徹底的に排除する必要があります
16~20 うつ病の可能性がかなり高いでしょう。最寄りの精神科で診察してもらうのをお勧めします。
※正式にうつ病を判断するものではなく、あくまで一般的な傾向に基づく質問になっているので、参考程度に捉えてください。
精神的な疲れが溜まっているなら休職、もしくは転職も視野に
うつ病、もしくは精神的な疲労が溜まっていると感じるなら、少し休養が必要です。
「少しくらいきつくても、体は動くし大丈夫!」と活を入れて働くことよりも、少し立ち止まってみるのも大切だと思います。
無理をして体を壊してしまったら意味がありませんので、思い切って上司に1,2週間の休職をお願いしてみるのもアリなんじゃないかと思います。
そして、うつ病を最も気を付けていただきたいのが「認知症介護」をしている介護職の方達。
認知症介護というのは精神的ストレスが非常に大きく、うつに悩む介護士も特に多いと聞きますが、まだまだ介護職員の心や体のケアをしてくれない施設が非常に多いのです。
そのため辞めていく方が後を絶たなく、介護業界は離職率が高いと悪評高い業界になってしまっているのです。
これはとても悲しいですよね・・
これは職員のケアをせずに、自己の利益の追求に力を注いできたからなのですが、慢性的に人材が不足している今では、職員の使い捨てるような時代は終わりを迎えようとしています。
介護業界は”職員を大切にしてくれる施設”と、”使い捨てにするような悪質な施設”の二極化が顕著に表れているのです。
もしも、今の職場がスタッフを大切にしてくれないと感じるなら、他の施設に転職する事も考える必要がありそうです。